Skip to content(本文へジャンプ)

01 INTERVIEW

かせきさいだぁによる『ミスターシティポップ』全曲解説

インタビュワー

かせきさいだぁ「ミスターシティポップ」
鈴木英人 公式サイト

――それでは、うまくリピートした体で(笑)、1曲目から解説お願いします。まずは、M-1「ミスターシティポップ」。

かせきさいだぁ

「薄く切ったオレンジをアイスティーに浮かべて」という本歌取り、(鈴木)英人さんへのオマージュなど、「僕がシティポップだと思うモノゴト」へのリスペクトに溢れた曲です。

インタビュワー

――M-2「さよならマジックガール」。ここで言う「マジックガール」ってとても印象的な言葉ですが、いったいどんなイメージなんでしょうか?まさか「女の子は誰でも魔法が使える」的な?

かせきさいだぁ

原田真二 公式サイト

それは、ちょうど「魔法少女まどかマギカ」が流行っていたので(笑)。ただの失恋ソングにはしたくなかったんですね。松本隆先生も原田真二さんの「キャンディ」は、マンガ「キャンディ・キャンディ」が流行っているのでそうしたと言っておられましたから、それのオマージュでもあります。

EPO 公式サイト

曲調としては、もし「オレたちひょうきん族」から曲提供依頼を受けたら……というイメージ、そんなキャッチーさを目指しました。コーラスはEPOさんにやっていだけることになり、あまりにも素敵だったのでミックス段階になって僕の独断で、EPOさんの音量をぐっと上げちゃいました。

インタビュワー

――M-3「ソーダフロートシャドウ」のイントロは、これまた The Doobie Brothers の“Long Train Runnin'”を思い出しました。

かせきさいだぁ

山下達郎 公式サイト

ブレッド&バター 公式サイト

僕は山達(山下達郎)のイメージだったんですけど。曲名は、ブレッド&バター作の「ピンクシャドウ」からと、これまたオマージュとリスペクトにあふれています。引き続きEPOさんのコーラスをいっぱい入れて、前作で醸し出していたハグトーンズの男臭い感じからの脱却を計っています(笑)。

インタビュワー

――前作の「ときめきトゥナイト」に続く、アニメカバーが M-4「恋の呪文はスキトキメキトキス」です。

かせきさいだぁ

今作でも何曲かアニメの名曲をセレクトしてハグトーンズとともに練習したんですけど、その中で一番早く、かつ面白く仕上がったのがこの曲。カバーするからには「こんなアレンジするんだ!」とびっくりされるくらい、思い切りアレンジを変えていきたいと、The Doobie Brothers のマイケル・マクドナルド節を取り入れてみたわけです。とは言え、着地点として決して The Doobie Brothers 風にはならないのがハグトーンズ。この「ぽくない」感じがいいですよね。

インタビュワー

――M-5「ホリディ」はトーテムロックのセルフカバーですね。かせきさいだぁスタッフさんおすすめの曲、とのことです。

かせきさいだぁ

松本光由に「好きにギターを弾いてくれ。ギターポップだ。」と言ってアレンジしてもらいました。イントロからして、ちょっと懐かしい青春の甘酸っぱさを醸し出しています。

購入はこちらから
iTunes ミュージック トーテムロック「ホリデイ featuring 夢眠ねむ」

実はこの曲、トーテムロックでは、まだ公式にリリースしていなかったんですけど、2012年09月26日(水)より、でんぱ組.incの夢眠ねむさんをフィーチャーして、「ホリデイ featuring 夢眠ねむ」としてリリースすることになりました。ぜひ合わせて『ミスターシティポップ』ヴァージョンと聴き比べて欲しいですね。

インタビュワー

――全体的に恋愛ぽい歌詞が多い中で、M-6「夏の月面歩行」のSFっぽさは異色かもしれません。

かせきさいだぁ

今作は派手目でアッパーな曲が多いので、それだけになっちゃうのもどうかと思ってて作った曲です。

たしかにちょっとだけSF要素が入っています。歌詞では明言していないけれども、スペースコロニーに住んでいる主人公が、そこから地球から見るのとは違う月を見ている、というイメージなんです。ちょっといつもとは違う郷愁を表現したくて。

堀込高樹にコーラスを依頼したのですが、どうも音楽的に難しいコーラスのメロディだったらしく、大変だったと言ってました。でも、ワタナベイビーから「このブラックフィーリングあふれるコーラスすごい!」と絶賛されていたので、報われたと思います(笑)。

インタビュワー

――M-7「雨のサブウェイ」は、ホーンセクションと絡むベースのチョッパーがセクシーな、正統派のシティポップ風味ですね。

かせきさいだぁ

ラップをフューチャーした、かせきさいだぁ流のシティポップです。世の中にはシティポップをやっている人たちはいっぱいいるわけですが、「僕にしかできないシティポップは何だろう?」って考えた時に、一つはラッパーという出自を生かすことかなと。

実は前作の頃から温めていた曲で、その頃は普通のAメロ・Bメロがあって、ラップはしないつもりだったんですが、方針転換。結果、堀込高樹に「今作で一番好き」と褒めてもらえたので、成功じゃないでしょうか。

インタビュワー

――ファーストアルバム収録曲のセルフカバー M-8「冬へと走りだそう」は、今回はネオアコ風アレンジではありませんね。イントロは Jackson 5 風と見せかけて、また山達ですか?!(笑)

かせきさいだぁ

そうですね(笑)。でも一応アズティック・カメラなんですよ。ライヴでは昔の曲(ハグトーンズ以前の曲)もやるわけですけど、ハグトーンズで「こんなアレンジどうかな?」と、やってみたらかっこよかったので再録することにしました。振り返ってみると、キャリアの中で再録した回数が多い曲かもしれません。

インタビュワー

でんぱ組.inc 公式サイト

――先ほどお話いただいたように、カジヒデキさんとの出会いの曲ですし、かせきさいだぁを語る上で、重要な曲なんでしょうね。ちなみに僕はこの曲が一番のお気に入りです。このかせきさんのフローが気持ちよくて、「唄とラップが等価なものになっているんだなあ」と感じます。続いて、でんぱ組.inc に提供した、M-9「くちづけキボンヌ」のセルフカバーです。

かせきさいだぁ

プロデュースの縁もあって、でんぱ組と何度か対バンする機会があって、自然と「じゃあ、『くちづけキボンヌ』やったほうがいいね。」となりまして。もともとアイドル向けの曲ですから、思いっきりアレンジ変えたほうが僕が唄った時に違和感が少ないだろうと、ハグトーンズのお家芸である「ジャパニーズスカ」に仕上げました。

あと、「なんで今さら『キボンヌ』なんてネットスラングを使ったの?古くない?」って意見を見聞きするんですけど、僕から言わせてもらえば、「キボンヌ」という言葉には時代を超越するパワーがありますよ。そういう言葉をサンプリングしない手はないでしょう。それに、名曲というものは末永く聞き継がれるもの。数年遅れなんて、誤差の範囲でしょう(笑)。

インタビュワー

「フリーダム フリーダム!」オリジナルバージョンはこちら
TOTEM ROCK myspace

ポール・ウェラー(Paul Weller) : ザ・ジャム、スタイル・カウンシルのヘッドマンを経て現在はソロとして活動中。 (Wikipediaより

――そして、再びトーテムロックのセルフカバー、M-10「フリーダム フリーダム!」です。オリジナルは、すべて木暮さんが唄っていますね。

かせきさいだぁ

この曲はハグトーンズに「頼む、俺をポール・ウェラーにしてくれ」と一言(笑)。ザ・ジャム、スタイル・カウンシルの熱い頃のポール・ウェラーですよ!

インタビュワー

――こうして熱いクライマックスを迎えて(笑)、M-11「アウトロ」になだれ込んで、そのまま、また1曲目にリピート!全曲解説おつかれさまでした。それでは、最後にファンの皆さんにメッセージお願いします。

かせきさいだぁ

僕自身、プラモデルを趣味としているわけですが、プラモのファンは皆自分たちが業界を支えているという自負があります。だから、何か新製品が発売されると何はともあれ買うんです。なぜかというと、このシリーズが売れた先に、いつか自分たちの求めるモデルへの道が開ける、というのを知っているので。こうなってくると、買うって行動自体が楽しいものになっていくんです。

川島小鳥 公式サイト

あわよくば、僕のファンの皆さんにもそんな楽しみを与えたい。参加意識を持っていただいて、かせきさいだぁの世界を皆さんと一緒に楽しめたらいいなって思うんです。要するに、『ミスターシティポップ』を買ってください、お友だちにも薦めてくださいってことなんですけど(笑)。川島小鳥君の写真集「かせきちゃん」もついてますよ!