TOTEM ROCK かせきさいだぁ×木暮晋也 インタビュー

取材・文・撮影/勝又啓太
Sketches of Designkasekicider.com 管理人)

結成から『TOTEM ROCK EP』まで

――そのかせきさん×木暮さんコンビで得た手応えが、トーテムロック結成につながっていくのですね。

かせきさいだぁ
かせき
そうですね。実は『SKYNUTS』に続くアルバムの構想があったのですが、ほとんどの曲を木暮さん曲で構成しようと思っていたくらい、このコンビにはほんとしっくりきていて。それで、そのアルバムのレコーディング準備と並行して、恵比寿みるくで開催されている人気イベント「Radio SHOCK!!!」(シンゴスター主催)に、木暮さんと二人で出演することにしたんです。
木暮晋也
木暮
当初は、トーテムロックとしてのオリジナルはないので、加藤くんの曲や僕のソロ曲がレパートリー。クラブ出演がきっかけだったこともあって、ダンス仕様にリアレンジしてね。
かせきさいだぁ
かせき
2~3回目くらいからでしたかね、トーテムロックと名乗り始めたのは。

――ずっと気になっていたんですけど、その「トーテムロック」というユニット名の由来ってなんなんでしょう?

かせきさいだぁ
かせき
木暮さん誘って青山Mixに、川辺ヒロシくん(TOKYO No.1 SOUL SET)のDJを見に行ったんですよ。当時、川辺くんはミニマルでダブっぽいハウスを爆音で、しかも、会場が真っ暗な中プレイしていたんです。お客さんも何かにとりつかれたかのように、一心不乱に踊り続けていて。まるで太古の時代に、どこかの部族が宴をやっているかの如く、プリミティヴな場になっていて。「なにこれ、僕の知ってるクラブの雰囲気と違う!」って感銘を受けまして。
木暮晋也
木暮
それがすごくかっこよくてね。それで、当時TIKI(ポリネシアの神様)が加藤くんのマイブームだったこともあって、自分たちは宴の輪の中心に立つ「トーテム」ポールとなって、「ロック」で、クラブを踊らせる、そんなコンセプトが由来。
かせきさいだぁ
かせき
渋谷系を通ってくると、つい音楽を「ネタがどうこう」とか、頭でっかちにとらえがちじゃないですか。もちろんそれはそれですごく面白いんだけど、川辺くんのプレイに触発されて、頭より先に身体が反応しちゃう、そんな音楽がやりたくなったんですよね。

――そのトーテムロックでのおふたりの役割分担はどうなっているのでしょう?

かせきさいだぁ
かせき

まず曲については、僕が作詞、木暮さんが作曲。そして、僕がラップ、木暮さんがメロディと、歌い分けるのが基本ですね。

トラックは木暮さんが宅録で作ってきてくれるんですが、びっくりすることに、実は「さいだぁぶるーす」のレコーディングを最後に、僕は木暮さんがギターを録音している姿を見ていないんです(笑)。

木暮晋也
木暮
加藤くんに渡すときには、全部できあがっているからね(笑)。データとPCをスタジオに持って行くだけ。そこでトラックメーカーとしての仕事は終わり。後はラッパーの仕事だと思っているから。まあ、いわゆるヒップヒップのトラックメーカーとは言えないと思うけどね。

――一方、『TOTEM ROCK EP』(2003年09月18日発売)では、キリンジ堀込高樹さん作曲の「さよならファンタスティカ」が入っていたり、「TOTEM ROCK」のようにインスト曲もあったりと、先ほどの役割分担とはまた違うところもありますね。

かせきさいだぁ
かせき
予定していた『SKYNUTS』に続くアルバムのリリースをトーテムロック名義にすればいいんじゃないかって、『TOTEM ROCK EP』に鞍替えさせたのですが、この「さよならファンタスティカ」は、その幻のアルバムの名残ですね。
木暮晋也
木暮
インスト曲「TOTEM ROCK」は、ライヴ用の出囃子SE。これもクラブならではなんだけど、ライヴハウスと違って転換がなくて、DJから曲間なくつなげなくちゃならないでしょ。一方で、僕がギター弾くからそのサウンドチェックも必要で。その点、この曲は、それを同時に解決できるアイデアなわけ。
かせきさいだぁ
かせき
そのチェック終わったら満を持して、かせきさいだぁがステージに登場するわけです。もったいぶったフリしてね(笑)。
木暮晋也
木暮
トーテムロックの機材は iPod とギターだけなんだよね。いつでもどこでもライヴができる、フットワークの軽いユニット目指してて。ギターアンプがなくてPA卓にギター直でやったことさえあるし。
かせきさいだぁ
かせき
こういうラッパー+ギターという構成も、クラブ仕様のロックというコンセプトも珍しいから、競合もいないでしょ。じゃんじゃん呼んでください、ばんばん盛り上げますよと。

――木暮さんのギターが言わばロックの象徴として、どーん!とユニットの存在感になっていますよね。

かせきさいだぁ
かせき
僕はギターサウンドが好きなんでしょうね。そういえば、あんまりキーボーディストと組まないですもん。
木暮晋也
木暮
加藤くんは、実は根がロックなのかな(笑)。個人的にも、トーテムロックは普段のHICKSVILLEよりも、自分の中のロック魂を全開にできるところはあるね。やっぱり、HICKSVILLEとも、木暮晋也ソロとも違ってくる。トーテムロックとソロは同じ機材・環境での宅録ではあるんだけど。
かせきさいだぁ
かせき
ついでに言えば、でんぱ組(.inc)も同じ機材・環境ですね。

ページの先頭へ戻る